Vol. 8 ドイツからの便り Eri通信 「木質ペレット」

先日、フランクフルトにある住宅展示場に行ってきました。

今回は、そこで見た暖房についての話です。

<写真1>のように、昔ながらの暖炉のある家が多くありました。

現在は、<写真2>のような壁に備え付ける放熱器が一般的にはモダンですが、ドイツ人にとっての暖炉は、日本人にとってのコタツと同様、愛着のあるものなのかもしれません。

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写真1.住宅展示場にあった暖炉
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写真2.放熱器

暖炉はもともと、欧米の童話でもおなじみのように、薪を燃料としていました。しかし今では石油、木炭、ガス、などさまざまな燃料が使用されています。(しかし今でも薪を燃料としている家もあります。築5年の私の知り合いの家でも敢えてそうしていますが、昔ながらのローテクもいいものですね。)

それらのさまざまな燃料の中でも、最近注目されているのが、「木質ペレット」という燃料です。

住宅展示場の中でも「省エネルギー住宅」を売りにしている住宅では、この木質ペレットが燃料として使われていました。

この燃料は<写真3>のようなもので、普通のDIYショップなどでも売られています。


写真3.木質ペレット

木質ペレットは10年ほど前からドイツ国内で生産されるようになり、2000年以降は毎年、ほぼ前年の2倍の生産量で、どんどん普及しています。<図1.>

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図1.ドイツにおける木質ペレットの生産量
出展:Biomasse Info 2003のアンケート結果

これだけ注目されている主な理由は、次の3点です。

  1. 1.リサイクル材料である
  2. 2.CO2排出量が少ない
  3. 3.一次エネルギーが少ない

1.リサイクル材料である

木質ペレットは、製材所でゴミとなる、カンナの削りかすやおがくずを原料にしています。また、成形には人工的な接着剤は使わず、自然系の糊だけが加えられているので人体にも安全です。

2.CO2排出量が少ない

例えば石油を1MJ(メガジュール)分燃やすと、CO2は68.33g-CO2/MJ、排出されます。しかし、木質ペレットを燃やすと、木が成長する際に空気中から吸い込んだCO2の分だけが出るので、プラスマイナス0、という計算になります。

他の燃料を用いた暖房の場合と比べると、一家で1年間に排出するCO2の量は、ガスに比べて2.5t(トン)/年、石油に比べて4.3t(トン)/年少なくなるという計算例もあります。

3.一次エネルギーが少ない

例えば電気を燃料として使うと、発電所で発電してから家に届く間に、実際に使うことのできるエネルギーの約3倍のエネルギーが必要です。これを一次エネルギーと言います。ところが、木質ペレットは、この一次エネルギーが、実際に使うことのできるエネルギーのたったの0.2倍です。

一次エネルギーの考え方は、ドイツでは日本よりも頻繁に使われます。

そこで次回は、一次エネルギーについてもう少し詳しく触れたいと思います。

今回は暖炉の紹介から入りましたが、木質ペレットは燃料の一種なので、もちろん給湯用などにも用いることができ、ソーラーシステムとの併用などの研究開発も進んでいます。

参考にしたホームページ:http://www.pelletsinfos.de/wp-content/Pelletheizungen.pdf

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