外気温湿度変化
札幌、東京、那覇における外気の温湿度変化グラフを示します。
札幌では気温差が大きく、全体に低温であるということ、那覇は冬場の気温が高くまた年間を通して高い相対湿度を示していることがわかります。
札幌外気温湿度変化
東京外気温湿度変化
那覇外気温湿度変化
室内温湿度変化
WUFIでは室内温湿度を一定、サインカーブ、欧州規格に合わせて設定できます。
当解析では2月15日に最低、8月15日に最高を示すサインカーブで設定しました(ここでの温度はすべて摂氏)。温湿度は最低20度-30%RH、最高28度-60%RHを示すように設定しました。温度は環境省が推奨する空調の設定温度、夏季28度、冬季20度を参考にしました。
室内温湿度条件
その他の解析条件
- 計算ステップ:1時間
- 期間:3年間
- 建物:10 m未満の建物を想定
- 建物の向き:南向き
- 温湿度初期値:80%RH、摂氏20度
- 外装表面日射吸収は通常スタッコ仕上げ(Stucco normal bright)を選択
- 短波長吸収率*Short-Wave Radiation Absorptivity 0.4
- 長波長放射率*Long- Wave RadiationEmissivity 0.9
- 外装表面の雨水吸収係数は素材に従う: 0.7
湿気性状判定基準例
WUFI_Proヘルプにはソフトの使用法だけでなく、得られた結果をどのように判定するのかという判定基準の例が記載されています。
ドイツ規格DIN 4108 Teil3
ドイツには建築物内部湿気に関する規格DIN 4108-3(2001-07)があります。
- a.結露水が触れる建材は、サビやカビなどの害があってはいけない。
- b.結露期間中に、建物部位の内部に溜まった結露水は、乾燥期間中に、外気に放湿されなくてはいけない。
- c.屋根や壁において、単位面積あたりの含水量の合計が1.0kg/m2を超えてはいけない。しかしd.の場合は別。
- d.毛細管によって吸水されないような表面で結露が発生する際には、単位面積あたりの結露量は0.5kg/m2を超えてはいけない。木材に関してはDIN68800-2を参照のこと。
- e.木材に関しては、含水率が5質量%以上多くなってはいけない。
(木屑を使用した製品については3質量%。)
その他の判定基準例
WUFI_HelpではDIN 4108-3の基準とともにさまざまな判定基準を示しています。
- 経年での含水率(kg/m2)の上昇(水分蓄積の有無)を観察する。
- 限界温湿度曲線LIMによりカビ発育の危険性を大まかに把握する。
限界温湿度曲線:Lowest Isopleth for Mould
縦軸:相対湿度、横軸:温度をプロットし、LIM曲線以下ならばカビが発生しないという曲線です。
- LIM B I: 生物が利用できる基質(壁紙、生分解性の材料でできている商品など)
- LIM B II: 鉱物性の建材、カテゴリーⅠに属さない断熱材など
但しカビ発育に影響する他の要因(高温、紫外線、雨によってカビ胞子が流される等)により発育が抑制される場合もあります。
WUFIで解析した結果、これらの判定基準により問題の可能性があるとされた場合には、個々の事例でより詳しく綿密に検証する必要があります。
日本においても、地域の気候や建築実態に合わせたDINのような最低限の基準があることが望まれます。