RC建物の3種類の断熱工法における壁体内湿気性状が土地土地でどのように異なるのかという解析事例を紹介します。
解析の目的
札幌、東京、那覇3都市-3種類の断熱工法それぞれの壁体内湿気性状をおおまかに把握する
解析条件
対象都市は札幌、東京、那覇の3都市、断熱工法は日本で一般に用いられる代表的な3工法としました。
対象都市
- 札幌:寒冷な気候として
- 東京:中間的な気候として
- 那覇:温暖な気候として
断熱工法
- 住宅用グラスウール(以下GW)通気層のあるRC外断熱工法外断熱
- ビーズ法ポリスチレンフォーム(以下EPS)断熱材上に直接仕上げを施した外断熱
- 吹付け硬質ウレタンフォーム(以下PU)の内断熱
GW:住宅用グラスウール住宅用グラスウールは水を吸いやすいので雨の影響を考慮し、断熱材外側に通気層を設け、外壁を設置する。 |
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EPS:ビーズ法ポリスチレンフォーム外装仕上げはWUFI建材物性データベースより透湿抵抗がもっとも小さいLime Stuccoを選択した。 |
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PU:吹付け硬質ウレタンフォーム一般的な内断熱工法である吹付け硬質ウレタンフォームを採用した。 |
壁体を構成する建材の物性値
Table 1に解析モデルに使用した建材の厚みと主な物性値一覧(WUFI内データベースより)を示します。
Table 1 解析モデルの物性値
建材の種類 | 厚み (mm) | 密度 (kg/m3) | 空隙率 (m3/m3) | 熱容量 (J/kgK) | 熱伝導率 (W/mK) | 水蒸気拡散抵抗係数 (-) |
---|---|---|---|---|---|---|
Lime Plaster (Stucco) | 12 | 1600 | 0.300 | 850 | 0.700 | 7.00 |
GW:Mineral Wool | Table 3に従う | 60 | 0.950 | 850 | 0.040 | 1.30 |
EPS (density 15kg/m3) | Table 3に従う | 15 | 0.950 | 1500 | 0.040 | 30.00 |
PU | Table 3に従う | 40 | 0.950 | 1500 | 0.025 | 50.00 |
Concrete w/c=0.5 | 200 | 2300 | 0.180 | 850 | 1.600 | 180.00 |
Air Layer 10 mm | 10 | 1.3 | 0.999 | 1000 | 0.071 | 0.73 |
Gypsum Plaster (Interior) | 12 | 850 | 0.650 | 850 | 0.200 | 8.30 |
次世代省エネルギー基準
本解析では次世代省エネ基準にしたがって、断熱材の厚みを設定しました。札幌は区分Ⅰ、東京は区分Ⅳ、沖縄県(那覇)は区分外なので区分Vとして扱いました。
Table 2 次世代省エネルギー基準地域区分
地域区分 | 都道府県名 |
---|---|
I | 北海道 |
II | 青森県、岩手県、秋田県 |
III | 宮城県、山形県、福島県、栃木県、新潟県、長野県 |
IV | 茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県 |
V | 宮崎県、鹿児島県 |
Table 3 次世代省エネルギー基準による断熱材の厚み
都市(地域区分) | 断熱材区分C | 断熱材区分E |
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札幌(区分I) | 75 mm | 65 mm |
東京(区分IV) 那覇(区分なしV扱い) | 40 mm | 35 mm |