非定常熱湿気同時移動解析プログラムによる断熱工法の検討
背景
省エネルギー・熱的快適性向上を目指し建物が高気密化・高断熱化された結果、居住環境に様々な変化がもたらされました。しかしそれによりデメリットも起きています。
- 揮発性有機化合物が室内で高濃度になった=シックハウス症候群
- 水蒸気が屋外へ放出されにくく室内が高湿度になった=結露(カビ、藻類、サビ、剥離)
特に内部結露が起きると外見からはわからないですが、上記に加えて凍害、断熱性能の低下などの問題をもたらすことがあります。このように内部結露は建物の性能、寿命、美観、安全性に関わる重大な問題です。
したがって計画段階で壁・屋根内部の湿気性状を予測する必要があります。しかしながら壁内の湿気性状は複数の要因から影響を受け、非常に複雑です。
内部湿気性状に影響する要因
- 壁構造:建材の種類、厚み、位置の組合せが複雑
- 気象条件:特に日本では地域によって大きく異なる
- 室内条件:換気設備、住まい方(加湿)等の影響
こういった要因を再現できる、使いやすく精度の高い検証方法が必要とされています
非定常熱湿気同時移動解析プログラムWUFI(ヴーフィ)紹介
ヴーフィはドイツ:フラウンホーファー建築物理研究所により開発され、欧米で広く標準的に用いられる熱湿気同時移動解析シミュレーションソフトウェアです。ここでは、1次元のWUFI Pro. ver. 4.0(以下ヴーフィ)について使い方、分析事例を中心にご紹介してまいります。(サイト内のWUFIとはもご参考にご覧ください)
解析事例紹介
寒冷地札幌、温暖地那覇、中間的な気候として東京の3都市における壁内湿気性状をヴーフィにより解析した事例を紹介していきます
鉄筋コンクリート:RC建物
RC建物の3種類の断熱工法における壁内湿気性状が土地土地でどのように異なるのかという解析事例を紹介します
- 住宅用グラスウール:GWの通気層のある外断熱
- ビーズ法ポリスチレンフォーム: EPSの外断熱
- 吹付け硬質ウレタンフォーム: PUの内断熱
- 3都市-3種類の断熱工法(RC建築)の場合の壁内湿気性状→気象条件、工法の関係の傾向をおおまかに把握する
- 条件を変えた場合の結果比較→実際にヴーフィを使い工法の妥当性、改善案を示すシミュレーション
木造住宅:防湿シートの影響
木造住宅における防湿シートが壁内湿気性状に及ぼす影響についてのシミュレーション結果を紹介します
- 3都市それぞれで防湿シートがある場合、ない場合どちらが適切かを明らかにする
投稿者 外断熱コンサルタントのイーアイ: 2006年01月19日|ページの 先頭へ|