ドイツでは現在、全ての道の約9%に、自転車専用道路が整備されています<写真1>。しかし隣の自転車王国オランダでは、実に24%が整備されています。
写真1:自転車専用道路のマーク
Vol.14でも書きましたが、自転車は環境にも経済的にも健康にもいい、ということで、“環境と生活の質を上げるために”ドイツでもさらに自転車が普及することを目標にして、交通・建設・住宅省が中心となって、2002年から2012年までの10年がかりの大きなプロジェクトが進んでいます。
以下、そのプロジェクトの内容の例を挙げます。
自転車の交通の便をよくする
自転車がより広く普及するためには、自転車とバスや電車などの街の交通網をうまく組み合わせることが必要です。
実際にドイツでは、たいていの電車には、自転車を乗り入れることができます。(日本では、電車に乗るたびにタイヤなどを外して専用の袋に入れなくてはいけません。面倒でした。。。)
バスへの乗り入れはまだできないことが多いですが、一部の街では既に、バスにも自転車を持ち込むことができるようです。
また、駅での駐輪場を十分に設けることも必要です。
将来的には、車やバス、電車などの街の交通計画を行う際に、自転車の利用も同じくらい重要なものとして、考慮するようになります。
自転車道を増やす
現在は全体の道路のうち、約9%(10,200km)の道路が自転車用に整備されています。これを、年に300kmずつ長くしていきます。このため、ドイツの交通整備のための国家予算の中から、100万ユーロ(約1億4千万円)が出されます。この予算は、これまでの2倍です。
自転車へのサービスを向上させる
車に対しては当たり前の以下のようなサービスを、自転車に対しても充実させることも重要です。
- 自転車道の案内表示<写真2>
- 自転車用の信号の設置<写真3>
- 駐輪場の整備
- 修理や整備、洗浄のサービス・ステーション
- 簡単な手続きの貸し自転車 など
写真2:自転車道の案内表示
写真3:自転車用の信号
以上のようなことを行うための予算としては、例えば、ガソリン代に含まれる税金から、年に1,68兆ユーロ(約235兆円)が使用可能です。(どうりで、ガソリンが高いわけです。。。。現在はリットルあたり約170円です)また、例えばドイツとオーストリアなどのEU加盟国同士の国境を越える自転車道の設置には、EUからも、最大で50%までの援助を受けることができます。
私は2003年からドイツでの生活を始めたのですが、すでに、自転車での移動やサイクリングが快適なことに驚いていました。でも、その時はまだこのプロジェクトが始まって1年しか経っていなかったのですね。2012年にどうなるか、楽しみです。
イラスト:ドイツの子供の自転車スタイル