Vol. 10 ドイツからの便り Eri通信 「学生を育てる-現場研修編-」

誕生日は職場でも盛大に

私事で恐縮ですが、先週の日曜日は誕生日でした。そこで、職場の(ドイツの?)慣習に従って、月曜日には約40人分の、大量の手作りケーキを職場のみんなに振舞いました。ここでは、「誕生日です」「子供が生まれました」「結婚しました」「論文を書き終えました」。。。。と言っては、3時にみんなにケーキを振舞います。男性もよく自分でケーキを焼いて持ってきてくれます。
そして、今まで話をしたことがない人も満面の笑顔で「誕生日おめでとう」と言って近づいてきて、握手をします。
クリスマスと誕生日にかける意気込みは、ドイツ人の方が日本人よりも強いようです。

ドイツ大学事情のご紹介

ところで、、、
私は2003年から2005年の2年間はドイツ学術交流会の奨学生としてフラウンホーファー建築物理研究所に在籍していました。この研究所はシュツットガルト大学の建築物理学科とのつながりが強く、また、大学まで徒歩5分という場所にあったこともあり、いくつかの興味のある講義に参加しました。その時の様子を、何回かに分けてここでご紹介したいと思います。
今回は、学生が行う「現場研修(Praktikum;プラクティクム)」についてです。

ハイレベルなやりとり

私は、建築物理学科の最終学年が受ける、建築物理の応用的な講義にも参加しました。その時の学生と教授とのやりとりは、日本の大学では見たことがない、ハイレベルなものでした。というのも、学生の方からたびたび、「理論的にはそうだけど、実際にはそういう値にはならないのでは?」「この試験を研究所に依頼した場合、費用はどれくらいかかるのか?」「それに関しては、こういう問題が実際にあったことを知っています。×○☆◆÷□」などと、机上の理論だけではなく、現実的な質問がポンポンとなされるのです。
どちらかと言うと、教科書と大学の講義の内容を「ふむふむ」と素直に受け入れる一方の”優良”学生だった私は、目を丸くしてそのやりとりを聞いていました。

講義が終わった後、そのような質問をしていた学生に「どうしてそんなに現実的な質問ができるの?一度働いてから大学に戻ってきたの?」と聞いてみました。すると、答えは次のようなものでした。

現場研修

ドイツでは、大学で建築技術(建築物理を含む)を学びたい学生は、専門課程に入るまで、つまり入学から3年目までに現場研修を受けることが義務付けられています。研修期間などは大学によって異なりますが、シュツットガルト大学の場合は、8週間はコンクリート造の建築現場で建設に関する基礎知識を学び、実際の仕事を体験します。その後、4週間、各自の興味のある場所、例えば木造現場、建具の生産・設置、下水・上水、橋の建設、または建築関連事務所などで研修することが義務付けられています。
ドイツではこのような制度が定着しているので、各会社も、学生を低賃金で雇い、教える義務があります。
また、研修先は大学から紹介があるわけではなく、学生が積極的に自分で探し、コンタクトをとらなくてはなりません。卒業後の仕事を得るためのコンタクトをとることも目的としています。

大学で2年間、建築物理に関する基礎的なことを学んだ後にこのような現場研修を行うことで、3年目から専門課程に進むにあたって、学生の興味や関心、意欲、問題意識を高めることに大いに役に立っていると感じました。

現場に触れる

日本でも数年前から、学生が企業で働いてみるインターン・シップ制度が盛んになってきていると聞きます。(私が大学を卒業するころに始まった制度なので、詳しい内容は分かりませんが。)今思えば、そのような制度の有無に関わらず、自分もどこかの企業にお邪魔して、現場を見ておきたかったな、、、、と思います。Eri通信を読んでくれている学生のみなさんには、是非、学生のうちに、自分の勉強していることが社会でどのように役に立っているのか、また、どのような課題があるのかを知るためにも、現場に触れるチャンスを積極的に作って欲しいです。また企業も、教科書に書いていないことをどんどん吸収できる環境に、学生を温かく迎えて欲しい、と、こう思います。

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