Vol. 3 ドイツからの便り Eri通信 「ホルツキルヘンでの生活-その2:研究所-」

私が所属しているフラウンホーファー建築物理研究所は、その名の通り、建築物を熱や湿気、匂い、音、耐久性などのさまざまな視点から物理的に実験し、検証し、開発する研究所です。シュツットガルトが残響室、無響室、熱伝導率の測定などの実験棟内での作業が中心であるのに対して、ホルツキルへンでは実際の建物やさまざまな外壁や外装材について、屋外での暴露実験が盛んに行われています。

ドイツの中で建物に関する暴露実験を行うためには、ホルツキルへンが最適なのです。というのも、ここホルツキルへンは夏はあつ~く、日射も強く、冬はさむ~く、風当たりも強い、というなんとも素敵な気象条件で、ここで耐久性が確認されたものは、ドイツ国内のどこでも大丈夫である、と言うことができるためです。できるだけ多くの日射を受け、風を受けるために、研究所は草原の中にぽつんとあります(写真1)。

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写真1:草原の中にある屋外試験場(今は雪原ですが、雪がなくなると牛や羊の群れが見られます)

写真2の左端にあるドームの中には、飛行機の機体が入っています。これは一昨年から始まったプロジェクトで、今後ますます世界中で飛行機による移動が増えることに着目して、機内の空気質や熱的快適性、結露の問題を検証するためのものです。この写真の中央にある3階建ての建物は、外装材が取り外し可能な実験棟です。この実験棟は東西南北に向いていて、主に外装材の種類による室内気候の違いや、日射の影響、または空調設備に使用されるエネルギーの測定などに用いられます。また、エネルギー消費を予測するために開発されたソフトウェアの計算結果と実測結果を照合させるためにも用いられています。

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写真2:飛行機の試験施設(左)と温熱実験棟(右)

写真3は、さまざまな配合のコンクリートやその他の材料の耐久性を調べるために暴露している試験体です。「笠子地蔵」のように雪まみれです。写真4は、さまざまな種類の外装材の暴露状態です。これも雪に埋もれています。

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写真3:厳冬にさらされた石の試験体
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写真4:厳冬にさらされた外装材の試験体

私はこれから、この土地の住人として、この四季の変化が豊かな(激しい!?)気候を身をもって体験します。今朝の気温は-19℃でした。家庭用の冷凍庫とほぼ同じ温度です。人間も、ホルツキルへンで生活できれば、ドイツのどこに行っても平気で暮らしていけるのでしょうか。しばらくここで鍛錬します。

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