Vol.21 スウェーデンからの手紙  高齢者中の10人に7人がオムツを使用


高齢者ケアをうけている高齢者中の10人に7人がオムツを使用している
伝染病予防医師は、トイレ介助をする職員の数が不足しているからではないかと疑っている
2004年11月25日  イエテボリスポステン紙

特別住宅に住む高齢者のほぼ70%近くがオムツを使っている。 20名中の1名は抗生物質を服用しているが、どのタイプのバクテリアが薬の服用の原因になっているのかを調べるバクテリアの培養検査はめったにされていない。

これは、つい最近行なわれたヴェストラ イエタランド地方での、看護と伝染と衛生ユニットの調査の結果判明したことだ。 この調査の対象となったのは17000人以上もの高齢者で、調査結果は医師会の年次総会で発表される予定だ。

調査の対象となった高齢者はすべて、SABOと呼ばれる、特別公共住宅に住んでいる人達なので、病院に入院している人達ではない。しかし、全員が、地区担当看護婦の援助をうけるなど何らかの形で医療介護をうけていた。

町、田舎そして大都市地区の4ヶ所の医療地区を意識的に選んで調査を実施したので、この調査結果はスウェーデン全域を代表しているものといえる。

楽をするためにオムツに,,,
今回の調査の目的は、入所している高齢者の遭遇する危険要素、入所者はどの程度病弱であるか、どの程度感染症にかかっているか、何名ぐらいの高齢者が抗生物質を服用しているかなどを調べることにあった。

「最も注目するべきことは、非常に多くの高齢者がオムツを使用していたことですが、職員が楽をするためのオムツではないかと疑いたくなります。高齢者のトイレ介助をする職員が不足しているのでオムツが使用されているのです。」と、ヴェストラ イエタランド地方の伝染病予防医師のピーター ウッレリュードさんは語っている。 今回の調査の結果は、たんに現状を示しているだけで、何故高齢者住宅に住む高齢者の実情がこのようになっているかについての回答はしていない。

「次回は、これほど多くの人達がオムツを使用していることに関して看護面での衛生という観点からの調査をすることが重要なことです。膀胱炎にかかる危険性がますかどうかなどです。」と、ピーター ウッレリュード医師は語っている。

調査時には、20名中1名の高齢者が、膀胱炎や傷が化膿したために、何らかのタイプの抗生物質を服用していた。しかし、これらの高齢者のうちの半分小々、たった56%のみが、膀胱炎の場合はバクテリアの培養検査をしてもらっていた。

「私達は、20名中1名の高齢者が抗生物質を服用しており、しかも、抗生物質を処方する前に、ごく少数しかバクテリアの培養検査をしていないということは驚くべきことだと思っています。」と、ピーター ウッレリュード医師は語っている。

バクテリアの培養検査はややこしい

このグループの人達は、適切な抗生物質を処方しないと危険性が増すので、これらの抗生物質を処方する前には、常にバクテリアの培養検査をすることが推薦されている。しかも、抗生物質に対しての耐性があるバクテリアがますます増加している。

何故バクテリアの培養検査をしないのですか?

「それは、ややこしいからです。こんなに多くの高齢者がオムツを使用していますので、尿から培養検査をしたり、化膿した傷からの培養検査をしなければならないからです。それに、お金もかかりますから。残念ながら、理由はこんな簡単なものなのです。」と、ピーター ウッレリュード医師は語っている。
今回の調査は、すべての対象となった特別住宅で、同じ日の同じ時間に実施された。同時に、スウェーデン国内のすべての病院の入院患者を対象として、患者が抗生物質を服用している原因を調査する全国的な調査が実施されている。


「職員不足が原因ではありません。」
2004年11月26日  イエテボリスポステン紙

イエテボリ:高齢者ケアを受けている人達の10名中7名がオムツを使っているのは、職員不足でも、職員が楽をするためでもありません。 ビョルクシェルの高齢者住宅の職員のほとんど全員がこのように話している。

職員は、イエテボリポステン紙で昨日、調査の結果、オムツを使用している高齢者の人数は、職員が楽をするためのオムツではないかと疑っているという、ピーター ウッレリュード伝染病予防医師の発言におおいに動揺している。 

「あまりにも簡単に考えての発言だと思います。 トイレ介助は、私達が最も優先的にしていることです。」と、ビョルクシェルの高齢者住宅のヘイデイ ピエトレック ユニット チーフは語っている。

「正看護婦が、個人ごとに、その人が必要としているのはどのタイプのオムツであるかをためすよう決めているのです。オムツが必要でない人達は使っていません。人によっては、おもらし用のパットだけ使っている人もいます。人によっては、トイレが間に合わないので、大きなオムツを使う人もいます。」と、ヘイデイさんは語っている。

職員のほとんどもヘイデイさんに同意している。
「個人の尊厳は大切にしています。ですから、必要のない人にオムツを使ってもらうことはありません。」と、デジレー テイレルダールさんが話してくれた。

高齢者で失禁防止のためのパットを使用している人が多いが、その理由は様々だ。
「高齢者には利尿剤を服用している人達が多いのです。」と、ヘイデイさんは語っている。
そのため、自分から失禁防止のためのパットを使いたいと申し出る人達が多い。
「おもらしをしてしまい、両足が濡れてしまうのは、本当にひどいです。」と、デジレー テイレルダールさんが説明している。

クリスチーナ エヴルフルトさんは、こうも話してくれた。
「90歳以上の高齢になると、筋肉の力が弱ってしまっています。それに、この年代の女性は、5-7人も子供を産んでいる人が多いのです。ですから、どうなるかは、想像がつきやすいと思います。」

オムツをちょくちょく代えるようにしないと、膀胱炎にかかる危険性がましてくる。もちろん、高齢者では膀胱炎は心配ごとの1つだ。

「でも、私達は、入居者をオムツがぬれたままで放っておくようなことは絶対にしません。」と、ウッラ ラーションさんが語っている。

痴呆症の高齢者には、定期的にトイレにゆくように誘導するようになっている。

「もちろん、決まった時間にオムツを交換するようにしている人もいます。たとえば、朝食後、昼食後、夕食後などです。」と、アン マリー グスタフソンさんも話している。

職員は、時間不足とか職員不足により、高齢者の衛生管理がおびやかされるとは、誰も思っていない。それは、高齢者は、朝と夕方、身体の下の方だけを洗うようにしているからだそうだ。

「もっとたびたびシャワーを使えるように、もっと職員がいたらよいと思います。現状では、シャワーは週に1回だけです」と、ヘイデイ ピエトレックさんは語っている。

しかし、週1回のシャワーでさえも嫌がる人達もいる。職員は、個人の尊厳を重視するという意味でもシャワーを使うよう強制することは出来ない。

「でも、私達は、おいしいチョコレートを出すか、誉めてだきしめてあげるとか、その気にさせるよう努力しています。」と、ヘイデイさんは語っている。

写真の説明) ウッラ ラーションさんは、90歳のカーリンさんのトイレ介助をしている。ビョルクシェルの高齢者住宅は新しく改造されており、綺麗だがトイレは少し狭い。


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