第一日目、主催者挨拶で堀内が述べた挨拶を掲載いたします。
IBP-WUFI Workshop in Japan開催のご挨拶
今日は、月末のお忙しい中、ドイツのフラウンホーファー建築物理研究所(IB P)と有限会社イーアイが主催し、NPO法人 外断熱推進会議が後援するIBP- WUFI Workshopにご参加いただき誠にありがとうございます。
日本におけるIBP-WUFI Workshopは今回で4回目になります。初回 と2回目は外断熱推進会議が主催した、半日コースで、WUFI(ヴーフィ)紹介セ ミナーのような内容でした。当時は、日本向けWUFI(ヴーフィ)が開発される前 でした。
2006年5月に日本向けWUFI(ヴーフィ)が、お茶の水女子大学名誉教授田中 辰明先生のご指導をうけて弊社(有限会社イーアイ)から発売されました。その際 に、パソコンにWUFIプログラムをインストールして行われる本格的なWorks hopを1日半のカリキュラムで東京と大阪で開催しました。
南北に細長く、寒冷気候から亜熱帯気候をもつ日本において、コンクリート建築や木 造の高気密・高断熱住宅では、室内で発生した湿気が屋外へ逃げにくくなっており、 その結果様々な問題が起きています。
- 室内表面や壁体・屋根内部で結露・カビが生じる
- 湿気により、藻類の発生、サビ、剥離、凍害、断熱性能の低下など起こる
これらの被害を予防するためには、計画段階で壁体及び建材内部の結露の有無を予測 し、その対策を施す必要があります。
非定常熱湿気同時移動解析プログラム“WUFI”(ヴーフィ)を用いれば簡単な操 作で初心者でも結露をはじめとする熱湿気性状を明らかにすることが出来、適切な建 築計画を立てることが可能になります。
これまで、湿気による害の防止というと、冬季の結露を防ぐことばかりが注目されて きました。ドイツにおいて結露対策のための建物の評価は、これまではDIN(ドイ ツ工業規格4108-3)に記されている定常計算(Glaser計算法)によって行われてきま したが、湿気による多くの害は、建材中の湿気や雨水、夏型結露などが原因となって います。また、日射、建材内の毛細管輸送も影響を及ぼします。こういった点は定常 計算では考慮されません。2001年7月のDIN 4108-3の改訂版には、定常計算 (Glaser計算法)の限界が記され、実際の気象条件のもとでの建物部位の非定常の熱 湿気性状を評価するためには、WUFI(ヴーフィ)のような近代的な計算を行う必 要があることが明確に示されました。
WUFI(ヴーフィ)は、米国のEIFS外断熱協会(EIMA)やドイツの湿式外 断熱協会(WDVS)においても標準プログラムとして活用されております。 欧米においては頻繁にWUFI Workshopが2日間の日程で開催されており ますが、今回の日本でのWorkshopは2日半の日程で開催します。
今日から三日間のWorkshopを通じて、非定常熱湿気同時移動解析プログラム”WUFI” を理解して下さい。
平成20年1月29日(火)
堀内 正純