IBP-WUFI Seminar2011 (その4)

(その4)
続いて、講演4としてフラウンホーファー建築物理研究所・田中絵梨研究員からWUFIの計算結果について説明が行われました。


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講演4.「WUFIの結果の考察」 IBP田中絵梨研究員

WUFIを使って計算するときは、はじめに、どういうことに気をつけて結果を見なければいけないかということを確認しておきます。まず、湿気がたまっていないかどうかです。それから、建材の含水率が高すぎないかどうかです。建材の含水率が高いと、熱伝導率が高くなってしまい、断熱の効果が少なくなってしまいます。それから、錆びや腐敗、凍結などの問題が起きる可能性があります。また、室内表面での相対湿度が高すぎるとカビが生える危険性があり、外側の表面で相対湿度が高いと、藻類やカビなどが繁殖して壁が汚れてしまったり、錆びや凍結、腐敗の危険性があります。


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メモ 湿気の害

木造の屋根について計算したモデルはこの図のような、木造の屋根です、北向きに50度傾いている屋根で、外側にはアスファルトシートがあるとしました。
アスファルトシートはほとんど湿気を通さないので、Sd値は50です。つまり、このシートの透湿抵抗は、50mの空気層の透湿抵抗と同じ、ということです。
室内は、温度が20℃から22℃、湿度が40%から60%で動くものとしました。室内側の防湿シートのSd値をいくつか変えてシミュレーションしました。


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木造屋根の温湿度

表面の湿気の通しやすさを表すSd値は、ドイツではよく使われるのですが、日本ではまだ使われていないようです。Sd値とは、水蒸気拡散抵抗係数ミュー値に材料の厚みをかけたものなのです。ミュー値とは、材料の透湿抵抗の大きさを表す物性値です。日本で使われているのは、材料の透湿抵抗そのものを表すのですが、ミュー値は、材料の透湿抵抗が、同じ厚みの空気層の透湿抵抗に比べてどれくらい大きいか、ということを表します。材料の透湿抵抗は、温度や大気圧によって変わりますが、ミュー値のいいところは、そのような影響も考慮されていることです。


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μ(ミュー)値とSd値について

木造住宅において、高断熱・高気密化がすすむと、室内で発生した水蒸気や外部からの雨水や湿気の侵入による、結露やカビ、錆びや凍結、腐敗の危険性があります。


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カビの写真

下記のグラフは、カビが生える、温度と相対湿度の条件を表しています。LIM曲線というものです。建材の種類によって、カビが生える条件は変わります。
緑の線は、生物が利用できない建材のものです。青い線は、生物が利用しやすい建材のものです。赤い線は、生物が生きるのにちょうどいい、栄養が十分な建材のものです。
国際的な規格であるIEA Annex14やドイツの規格では一般的に、相対湿度が80%以上になると、カビが生える危険性がある、となっていますが、実際には、相対湿度が80%より低くてもカビが生える危険性があるので、詳しく調べる必要があります。


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カビ 基質の分類

つづく

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