Vol.68 スウェーデンからの手紙 機能障害者が“友達”をえる権利を認められた

2007年7月22日 イエテボリスポステン紙

イエテボリ市の近郊都市のグループホームで生活している31歳の男性が、映画やその他のアクティビティに同行してくれる自分だけの“友達”を得る権利を認められた。この権利は、行政民事裁判所の判決で決まったことだ。

この男性は、機能障害者でLSS(ある一定の機能障害のある人を対象とした支援とサービスの法律)の対象となっている人だが、自分が様々のアクティビティに出かける場合に同行してくれる、法律が認めている権利のコンタクトパーソン(訳者注:行政が実費程度のお金をはらって友達のような役目をするよう依頼している人)を求めた。しかし、市は、この男性はサービスア住宅(訳者注:やや大きいサイズのグループホーム、通常12名程度がグループホーム形式で一緒に住んでいる。)で生活しており、余暇活動ができるようなすぐれた生活条件のもとで暮らしているのでコンタクトパーソンは必要なしと査定した。

しかし、その31歳の男性のゴードマン(成人後見人)が、31歳の男性にはソーシャルネットがまったくなく、友達もいないのでコンタクトパーソンが必要であるので、この決定には不満があると裁判所に訴えた。31歳の男性は常にどんな場合にも職員と一緒に行動している。それは、グループホームの居住者は誰もこの男性と行動したがらないし、職場でも同僚達は男性を避けている。

男性は、自分の母親に年に数回会うだけで、それ以外には自分の家族や親戚とはまったく接触していない。

常に職員と一緒だ

医師の診断書によると、この男性は知的機能障害があるだけでなく、特にセックスというものに異常な関心があるとのことだ。2006年度には、この男性のセックスへの関心があまりにも異常になったので、一人で一般社会で行動したり、グループホームの居住者と一人だけで接触することは不適切であると医師が判断した。言葉によるか、行動による不適当な状況を引き起こすので、職員が同行しており介入しなければならないからだ。

そこで、この男性が自分のアパートの外に出てくる場合は、職員が常に同行するようになった。この男性が引き起こす様々の出来事に対応するには、専門知識や経験が必要だ。従って、この男性のケアにかかわっているのは正式職員のみだ。

孤立して生活している

行政裁判所は、この男性は自分の行動のために、グループホームの居住者達と一緒に活動が出来ないので、かなり孤立しており、他の人達と有意義な形での接触もない生活をしているという判決をくだした。

従って、裁判所は、この男性には人と一緒に過ごしたり、余暇活動をするためにはコンタクトパーソンを得ることは妥当なことであると判断している。