(その6)
非定常熱湿気同時移動解析プログラム”WUFI”は、住宅や様々な建築物において高断熱・高気密化がすすむことにより壁の中で発生する様々な弊害(結露・カビ・錆び・凍害・腐朽など)を事前に予測します。特に、これまで木造住宅の外張り断熱(外断熱)を行ってきたメーカーや工務店、設計士が、外張り断熱+充填断熱を行うことにより、より高断熱・高気密化、パッシブハウスを目指すとき必要な計算(シミュレーション)です。横浜に弊社が総合プロデュースした2×6プラス外張り(フェノールフォーム板)断熱のパッシブハウスがあります。その際、壁の構造や材料を選定する際にWUFIによる計算(シミュレーション)を行いました。
横浜パッシブハウス
最近は、パッシブハウスという言葉が一般的になりましたが、日本では、パッシブハウスは、2005年に来日したスウェーデンの環境建築家・ハンス エーク氏の無暖房住宅(Houses Without Heating Systems)としてが紹介されました。スウェーデン イエテボリ市郊外のリンドース地区に建設された20戸の低エネルギーテラスハウス(20 low energy terrace houses in Gothenburg)は、壁の厚さ43cm、10層の構造で建てられていました。このような、複雑な多層構造の壁体も計算(シミュレーション)することができます。
リンドースの無暖房住宅
住宅で使われる建材や断熱材、メンブレン(シート)には、それぞれ異なった物性値があります。設計や施工にあたってそれぞれの物性値を理解して設計や施工を行うことが必要です。
メンブレン(シート)の種類による使い方
断熱材の種類による使い方
これまで、建設される地域(北海道から沖縄)により異なる気象条件(雨量や湿度、日射量など)にあった材料を選定、特に新しい建材や断熱材等を使うときは、屋外に建てた実験棟や人工気候室などでの実験が必要でした。しかし、そのためには時間と多額な費用が必要でしたが、WUFIにより簡単に計算(シミュレーション)が可能になりました。
講演時間が予定より早く終了したため、会場からの質問を受けました。
会場からの質問に答えるIBP田中絵梨研究員
フラウンホーファー研究機構 日本代表部代表 グランラート博士
非定常熱湿気同時移動解析プログラム”WUFI”のパンフレット
WUFI Ver5のパンフレット(別ウインドウ:pdf:1.7Mb ) 。