北海道外断熱セミナー「外断熱マンションに暮らそう」報告

イーアイ代表の堀内正純(外断熱推進会議事務局長)が、11月20日(土)に札幌市教育文化会館講堂において開催された北海道外断熱セミナー「外断熱マンションに暮らそう」においてパネルディスカッションの司会をしました。


休憩後、外断熱推進会議事務局長堀内正純の司会でパネルディスカッションが始まりました。

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(パネルディスカッション パネリスト)

  • パネルディスカッション
  • ◆司会
  • NPO法人外断熱推進会議事務局長  堀内正純
  • ◆パネリスト
  • 札幌市都市局市街地整備部住宅課課長 大島佳之様
  • 外断熱マンション住人         中井陽子様
  • 外断熱賃貸マンションオーナー     加藤栄吉様
  • ノンフィクション作家        山岡淳一郎様
  • (社)北海道建築技術協会専務理事  長谷川寿夫
  • NPO法人外断熱推進会議北海道支部 藤本哲哉
  • NPO法人外断熱推進会議北海道支部 大橋周二


初めに司会の堀内正純より外断熱との出会いと外断熱への想いについて映像を交えた話がありました。

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(司会の外断熱推進会議事務局長 堀内正純)

この写真は、私が1998年今は亡き江本央氏等とフィンランドのオウル市を訪れたとき、ホテルの窓から撮った写真と初めての外断熱マンションとの遭遇です。

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(外断熱マンションとの遭遇)


わが国における外断熱の歴史は、1960年代北海道大学荒谷研究室における理論的研究から始まりました。さらに、1971年にベルリン工科大学ヘルマンリーチェル研究所に研究員として留学していた田中辰明氏(お茶ノ水女子大学名誉教授・当法人副理事長)が、ドイツにおいて外断熱についての研究調査を行い1973年オイルショックで揺れる日本に帰国しました。その直後、氏は当時日本設計の印藤先生が担当した外断熱オフィスビル(札幌興銀ビル)建設に関与しています。札幌中央署前の札幌興銀ビルは現在も外断熱オフィスビルとして使用されています。

kougin.jpg(札幌興銀ビル)

1973年のオイルショックのあと北海道では、官公庁や民間の金融機関、電力会社を中心に外断熱の建物が数多く建設されました。官公庁では、北海道立図書館書庫増築(1982年)、石狩市花畔団地(300戸1983年)などで外断熱工法が採用された。民間では、拓銀テラスハウスの改修工事(1976年)、拓銀手稲支店新築工事(1977年)などで外断熱工法が採用されました。現場では、FRC打ち込み工法やブロック二重壁など多様な外断熱工法が登場し、寒冷地の標準工法として定着するかに思えました。しかし、「一本の通達が息の根を止めた」(山岡淳一郎 「外断熱は日本のマンションをどこまで変えるか」 104P)1985年9月の建設省住宅局建築指導課長名での「耐火構造の外壁に施す外断熱工法の取り扱いについて」(510号通達)である。すなわち、「耐火構造の外壁に施す外断熱工法」について、30分、1時間の耐火試験を義務付けるものである。

その結果、これまであった多様な外断熱工法は消え、耐火試験に合格した「建設大臣認定工法」だけが生き残りました。しかし、寒冷地では耐火のために発泡プラスチック系断熱材に塗った厚いモルタル(複合板)の表面にクラックや剥離現象などの事故が発生しました。

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(外断熱クレーム)

時代は、バブルの真只中へ。室内環境重視より豪華なデザインと力任せの設備。上昇する建築コストと安価なウレタンの採用。内断熱の土壌がそこには当然のごとくできていた。その結果、外断熱の流れはいつの日か忘れ去られていきました。
外断熱は思考錯誤を繰り返しながら北海道の公共建築等で採用されていましたが、一冊の本とTV番組が流れを変えました。本日一部の皆様が手にされた「日本マンションにひそむ史上最大のミステーク」(江本央他・TBSブリタニカ 絶版)とTV東京系報道特番「住まいの未来学~外断熱で結露、カビが解決」(2000年7月放映)です。


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(一冊の本とTV番組が流れを変えた・・・)

「日本のマンションにひそむ史上最大のミステーク」は現在絶版になっておりますが、NPOの"ソトエコ http://sotoeco.jp/ ”ホームページから購入できます。 

外断熱工法が、寒冷地だけの工法や一部の建築士や研究者の世界から、日本中のゼネコン・デベロッパー・一級建築士・資材メーカー・一般ユーザーの世界へ広がった瞬間です。
 以降、数はまだ少ないが外断熱の建物は全国で建設され、その建物を利用し、そこに住む住人が増えています。多くの利用者や住人は、外断熱工法のすばらしさをHPやメルマガで発信しています。

 現在、北海道や札幌市でも公共建築物や公営住宅の外断熱(新築・改修)化をすすめています、また、民間では協賛団体の(株)テスクさんが外断熱賃貸マンションを供給しています。しかし外断熱分譲マンションの供給は2006年に小樽で藤本さんが外断熱分譲マンションを設計して以降あまり供給が行われておりません。
外断熱改修について、外断熱推進会議では、昨年東京都八王子市南大沢地区で10棟146世帯の分譲マンションの外断熱改修の外断熱設計・積算・監理を行いたいへん喜ばれました。


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(東京都八王子市 ホームタウン南大沢<10棟 146戸>外断熱改修)

札幌市では民間の既存分譲マンションの外断熱改修はアイテックの佐藤さんの知事公館前の大通りハイム等の外断熱改修以降、今年、北海道支部の大橋さんが手掛けたファミール北8条、麻生ロイヤルシャトー以外の工事事例はありませんでした。


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(ファミール北8条 外断熱改修前と外断熱改修後)


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(ドイツやスウェーデンの色鮮やかな外断熱マンション)

ドイツでは、足場をかけて外装工事を行う場合は外断熱にしなさいとの指導があると聞いています。


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(欧州における2009年の湿式外断熱施工面積)

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(米国の湿式外断熱施工面積)


ドイツや欧州より寒冷な気候区に暮らす北海道民は外断熱マンションや外断熱建物に暮らす権利があります。

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