2008年6月29日(日)
昼過ぎに、ミュンヘンから遠路自家用車で エコ・トランスファー・ジャパンの ノルベルト・バウマンさんがホテルに到着した。 バウマンさんにパッシブハウスの案内と パッシブハウス研究所への連絡をお願いしていた。 エコ・トランスファー・ジャパンは、 パッシブハウス建設に必要不可欠なメンブレインメーカー、 ドイツ・プロクリマ社の日本総代理店である。
バウマンさんの案内で、パッシブハウス探しが始まった。 最初に、フランフルト郊外の幼稚園と 小学校の無暖房(パッシブ)建築現場を見学した。
パッシブスクール(幼稚園+小学校)
パッシブスクール(幼稚園+小学校)全景
夏休みに入ったパッシブスクールの玄関に張られた紙に 見入るバウマンさん、山下先生、中津留さん
玄関に張られたエネルギーパス(証明書) Aランク=15 (kWh/m2a) パッシブハウスの表示がある
表示されているENERGIEAUSWEIS(エネルギー証明書)には、 下記の内容が記載されている。
- 暖房 15 (kWh/m2a): Aランク 6,000ユーロ/年間
- 電気 11 (kWh/m2a): Bランク 13,000ユーロ/年間
- 水 155 (L/m2a): Bランク 4,142ユーロ/年間
- 合計 23,142ユーロ/年間
また、建物の延べ床面積について
- 小学校 4,460 m2
- 幼稚園 1,340 m2
- 厨房 300 m2
- 体育館 1,570 m2(非パッシブハウスエリア)
- 合計 7,670 m2
更に、改良・改善の提案として
- 地下室のドアを400ユーロをかけて交換すると 年間150ユーロ省エネとなる
- 体育館の照明を400ユーロをかけてセンサー型に 交換すると年間250ユーロ省エネと なる
- 体育館の天井暖房に400ユーロをかけて センサー型に交換すると年間200ユーロ省エネ となる
- 散水等に雨水活用システムに2,000ユーロをかけると 年間300ユーロ省エネとなる
- 昼休みの照明を節約する場合は、 コストが0であるが、年間400ユーロ省エネとなる
また、銀行から建設資金を借りる場合、 パッシブハウスには10年間優遇金利が適用されるという。
フランクフルト郊外のパッシブスクールを見た後、 パッシブハウスハウス研究所があるダルムシュタットに向う。
ダルムシュタットのクラーニッヒ団地への案内看板
クラーニッヒ団地で人に聞きながら 目的地にたどり着いた。Kranichstein76-82 ドイツで最初のパッシブハウスだ。 1990年に建設が始まり1991年に完成している。
クラーニッヒ団地 Kranichstein 76-82の文字
ドイツで最初のパッシブハウス外観ー北面
ドイツで最初のパッシブハウス外観ー南面
建物の外側を回っていると日曜日のためか住人が庭にいたので、 バウマンさんが話かけたところ庭に招きいれてくれた。 その住人は、1991年の建設時からこのパッシブハウスに 暮らすDr. WILMA MOHR氏。 バウマンさんの通訳でWILMAさんから話を聞いた。
ドイツで最初のパッシブハウス入居者 WILMAさんと
1991年に完成したドイツで最初のパッシブハウスは、 地上3階、地下1階、4連棟でメーソンリー造に275 mmの EPSで外断熱施工されている。 1戸のあたりの面積は、地上部分が156 m2、 地下室が65 m2で合計221 m2 (66.8坪)である。
新鮮空気の取り入れ口とダクト
地中熱活用 ヒート&クールチューブ
以前に住んでいた住宅では足元が寒かったが、 今は冬でも半袖で暮らしていて満足している。 入居後、2~3年は住まい方の勉強にかかった。 夏にブラインドを閉めないでいたら部屋が暑くなりすぎた。 また、冬は窓を開けないほうが良い、 一旦室温が下がると暖めるのが大変である。 ドイツ人は、冬でも窓をあける習慣があるが、 この家では熱交換換気装置があるので、 窓を開けなくても室内の空気は新鮮である。 スウェーデン製の熱交換換気(Temovex)は 18年間故障することなく活躍している。
花粉アレルギーの人も熱交換換気装置のフィルターが 花粉をシャットアウトするので良くなった。
ただ、最初に設置した給湯ソーラーシステムは 能力がありすぎたのと皆が使わないので 100℃を超えたため壊れてしまった。今は使っていない。
室内に設置された温水パネルについている エネルギーメーター
壊れて使い物にならなくなった温水ボイラー
雨水タンクの水量をあらわすビニールチューブ
横置きの熱交換換気装置Temovex。 地中を通った空気が熱交換される
壁の断熱模型 メーソンリー造+EPS275ミリ 外断熱
手作りの高断熱サッシ U値=0.7 W/m2K