Vol.85 スウェーデンからの手紙 日常生活につきものの問題を解決している

2008年4月5日 スヴェンスカダーグブラーデット紙

日常生活を向上させるための研究プロジェクトの結果が、高齢者むけの自発的支援活動のSvearingen(スヴェアリンゲン)になった

“フィクサル マルテ(手伝ってくれる男性)”のあとは、“フィクサル スヴェア(手伝ってくれる女性)”になった。何名かの女性達が高齢者達に、ボタンをつけたり、ランドリー ルームに同行するといった支援を提供している。Svearingen(スヴェアリンゲン)は、在宅を続けたいと希望している高齢者の日常生活をどのように向上させるかという研究プロジェクトから生まれたものだ。

“高齢者プロジェクトむけ”という名前で予約してあるテーブルの周りは満席だ。今日は、ストックホルム市のノルマルム区のアドルフ フレドリックス教会の近くの昔学校だった建物にあるカフェーでおしゃべりだけの集いだ。出席者の大部分が、自宅でインタビューを受けた105名の高齢者グループに入っている人達だ。

「私達は、老後の生活で何が重要であると考えているか、何を期待しているかについて高齢者自身の声を聞きたいと思ったのです。」と、ルンド大学のデザイン科学研究所内のプロジェクトをボーデイル ヨンソン教授と共に実施しているブリット ウストルンド助教授が語っている。

今後ますます増加すると思われる高齢者に看護と介護をどう提供したらよいだろうかということだけについて議論することは間違っていますと、ウストルンド助教授は語っている。高齢者の大部分は社会の支援に依存しているわけではないのです。皆が同じように老化するというわけではないのです。殆どの人達は、成人してからの人生の3分の1を退職して年金生活者になってから過ごすのです。

高齢者プロジェクトはアドルフ フレドリックス教会の教区と共同で実施された。インタビューと研究サークルに加わった高齢者は自分達の意見を反映させたいと希望している人達だ。

年間の研究プロジェクトは近々終了の予定だが、これらの高齢者の希望事項をもとにして、今後の活動を続けるために3つのグループが形成された。

自分の住んでいる地区をよく理解しようという歴史グループ。集まって自分の人生経験を話しあい、それらが他の人達にどう役立たせるかを議論するグループ。3つ目がスヴェアリンゲンだ。 「私達は、他の誰もが支援しないようなことを手伝うのです。ホームヘルプサービス部門も、“フィクサル マルテ”にも限界があります。“フィクサル マルテ”は、一緒に口紅の買い物に出かけたり、ボタンをつけてくれたりはしません。」と、スヴェアリンゲン グループに所属する13名の女性の一人ドリス アルター・セデルバリは語っている。

この女性達は、60歳強から88歳だ。このグループの女性達は、それぞれが週に2回電話に答える担当になる電話相談グループを結成したばかりだ。自分達で援助できない場合には、誰か別の人に頼んだり、役所への電話を代行したり、コンピューターをつかって情報を見つけ出したりしている。

「適切な高齢者住宅が無かったり、魅力的でない場合には何が必要だろうかということが調査の出発点でした。自立して生活しているものの、日常生活を送る上でちょっとしたことが難しくなったのです。」と、教会側のプロジェクト リーダーのウッラ ホーカンソン助祭は語っている。 お店に買い物に行く時に支援してもらったり、アドバイスしてもらい、郵便局や医師の診察を受ける際に同行者がいたり、電話番号を見つけたり、電話のボタンをどう押していくかを理解することなど、新聞や値札を読んだりすることが、高齢者からの支援要望事項として出てきた。

旧学校でコーヒーを飲みながらの話し合いで、スヴェアリンゲンが自分達の活動を紹介すると、1-2名の女性が直ちに援助を要請してきた。

「去年の11月に転んでからは歩行補助器具をもって地下鉄で出かけるのが怖かったのです。丁度、靴を修理に出しに行かなければならないところでした。」と、88歳のアン マリー ノールリングが話している。

「分かりました、私がご一緒しましょう。」と、スヴェアリンゲン グループの一人のウッラ モーテンソンがすぐ申し出た。

来週90歳のお誕生日を迎えるスヴェア スヴェンソンは、ホームヘルプサービス部門から週に1-2回の買い物支援を受けている。しかし、それ以外は何でも自分ですることが出来る。

「でも、長い散歩にいくと、すっかり疲れてしまいます。ですから、誰かが一緒に散歩に行ってくれたら本当に楽しいし、いいことだと思います。」と、スヴェアは一気に話してくれた。

スヴェアリンゲンの女性達は自発的なボランテイアなので、援助はすべて無料だ。数ヶ月間こういった形式で試したのちに、会費を徴収することになるかもしれない。

援助を受けられる事柄

  • ホームヘルプサービス部門から、清掃、買い物、身体介護と簡単な料理などの援助を受けられる。しかし、社会福祉サービス部門がニーズの必要性についての査定を行う。支援の利用料金は、各個人の経済状況により異なる。
  • “フィクサル マルテ”は、各市自治体により異なる名前で実施されている。ストックホルム市では、75歳以上の高齢者誰もが受けられる年に6時間までの無料の支援だ。支援は、カートンボックスを移動させたり、電球をとりかえたり、カーテンをつるすなど、職業専門教育を必要としない支援をする。
  • 赤十字の友愛サービスは、自発的友愛サービス協会が、主として話し合い手や散歩に同行するなどを提供しているものだ。

高齢者にとってはTVが有効なツール(工具)となる

  • コンピューターや電話の代わりにTVやインターネットの物知りサークルを通じて互いにコンタクトをとる。これは、高齢者とデザインに関する研究の結果ブリッタ ウストルンド助教授が知り得たことだ。助教授はTVは高齢者がよく知っている技術であると考えている。
    画像を押すだけで、互いにコンタクトがとれ、話をしたりメッセージを書いたりできる。こ の技術は、IT企業と協力してテスト中だ。今年の秋には、高齢者による初のテストが実施 される予定だ。
  • “物知りサークル”は、アメリカのモデルで、若い人達が、職業の選択や、不倫などに関し て質問できるものだ。人生経験豊かな高齢者が、質問について議論し、質問者が誰だか分か らないように処理してからインターネットを通じて回答する。
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