Vol.84 スウェーデンからの手紙 シングルペアレントに特別控除権を与えよう

2008年3月15日 イエテボリスポステン紙

シングルペアレントの生活水準はこの10年ほどの間に劇的に悪化した。社会保険事務所によると、現状では、3世帯中の1つが低い経済条件下で暮らしているとのことだ。特に酷い状況にあるのは外国出身の親たちだ。

子供のいる家庭の異なるグループ間の差がこの10年ほどの間に大きく広がった。大人2人が同居している家庭は少し良くなったが、シングルペアレントの家庭の状況は悪くなったどころか、非常に悪化した。

10年前には、子供のいるシングルペアレントの10,5%が低い経済的水準下で生活していた。2007年度には、この数字は30,2%に到達している。

「1998年に記録するようになって以後、経済的に恵まれない家庭が大幅に増えてきています。」と、社会保険事務所の分析専門家のMats Johanssonは語っている。 社会保険事務所は、毎年スウェーデン人のどの程度が経済的に低い水準下で生活しているかの分析調査を実施している。低い経済水準者とは、中点所得(丁度中央値にある所得)の60%以下の収入しかない人と定義している。

差が広がった

1998年度に記録がとられるようになった時点では、大人2人が同居している子供のいる家庭と、シングルペアレントの家庭との差はそれほど大きくなかった。同居家族の8,6%、シングルペアレントの10,5%の人達が低い経済水準下で生活していた。 大人が2人いる家族の数字は8,4%に下がったが、シングルペアレントの数字は30,2%に急上昇した。景気が良いにもかかわらず、経済水準の低いシングルペアレントの割合は、たった1年間で5%も増加した。

「この数値は比較的な数値です。それは、社会における所得が全体的に増えるに従って、中点所得が高まりましたが、このシングルペアレントのグループは、その大部分が、他のグループの人達と同じ条件で労働市場に加わることが出来ないという理由により、景気の成長度合いについていけないのです。」と、社会保険事務所のMats Johanssonは語っている。

同時に、シングルペアレントは特別にひとまとめにしてよいグループではないと、Mats Johanssonは強調している。ごく少数の人達は、一生懸命働き、高所得でハイレベルの生活を享受している。しかし、大多数の人達は、その他のグループの人達からどんどん置き去りにされてきている。最も酷い状況にあるのは、外国出身のシングルペアレントで、こういった人達の53%が低い経済水準で暮らしている。 Mats Johanssonは、シングルペアレントの生活が厳しくなったのは、住宅手合いを受ける権利を保持している人達が減少したことにもよると考えている。住宅手当は、現状では1997年度から変更されていない、一定の年間所得以下の人にのみ与えられている。そのため、2006年度には1998年度と比較して、約10万から15万世帯が住宅手当を受けられなくなった。

特別控除のためにロビー活動をしている

Helene Sigfridssonは、スウェーデンの驚くべき親たちの協会の総長だが、この調査結果には少しも驚いていない。Helene Sigfridssonの組織は、以前から社会の発展が間違った方向に向かっていると警告してきていたからだ。 「このグループの人達の就労程度が低くなっており、失業手当制度の改革も特に酷く影響しています。」 シングルペアレントにとって重要な問題は、普通の勤務時間以外に児童福祉ケアが受けられることだ。ところが、より多くの市自治体がこういったサービスを縮小している。

スウェーデンの驚くべき親たちの協会は、シングルペアレントは、税金の特別所得控除の対象になるべきだと考えている。 「大蔵省と議論してきましたが、まだ大蔵省は、家事サービス費用の控除、介護手当や平等ボーナスなどの同居している親たちへの支援を目指しているのです。」と、Helene Sigfridssonは語っている。

Helene Sigfridssonは、こういった支援金が、ますます酷い状況下で生活しているグループではなくて、以前よりも経済状態が改善されたグループに与えられるのはおかしいことだと考えている。

Goran Hagglund社会大臣は、シングルペアレントの経済的な状況に関して発言したがらない。しかし、政府は予算提案において調査を実施すると約束している。しかし、まだ現状では、社会省は、この約束した調査に着手していない。 Anders Borg大蔵大臣は昨年11月のイエテボリポステン紙とのインタビューで、政府はシングルペアレントに対して何かを実施する意向であると強調している。

「もちろん、シングルペアレントに対して何かをしようと考える理由はいくつもあります。それは、この10―15年間に何ら生活水準が向上しなかったどころか、経済的に厳しい状況にあるグループだからです。さらに、このグループは労働市場への密着性があまり強くなかったグループだからでもあります。」と、大臣は語っていた。

WUFI動画

WUFI販売

WUFI情報目次

セミナー情報

コンサルティング

「一枚の写真」

海外視察

FhG/IBP提携

本のご紹介

海外情報

スタッフ便り

リンク

お知らせとバックナンバー

プライバシーポリシー
特定商取引法に基づく表示
|メニュー終わり
ページの先頭へ|