Vol.53 スウェーデンからの手紙 高齢者の転倒事故が増加している

2007年1月16日 スヴェンスカダーグブラーデット紙

救援行政局は高齢者の安全性のために特別なデリゲーションの設置を要求している

この5年ほどの間に、高齢者の転倒事故数が9%も増加したということが救援行政局の最新報告で判明した。約4万8000人の高齢者が2005年度には転倒したが、病院での治療を受けなければないほどの怪我をした。1200人近い人達が転倒のために死亡した。スウェーデンにおける事故のなかではもっとも多いものが転倒事故だ。

その他の事故は減少しているが、高齢者の転倒事故のみは増加している。こういった事故により、各高齢者は非常に苦しい思いをするが、それ以外にも治療に必要な医療経費は年間約50億Krもの国税を使っている。しかも、高齢者数が増加するにつれ、転倒事故問題はより大きくなるであろうと予測されている。

救援行政局は、長い間高齢者の安全性対策のためのデリゲーション設置を要請してきたが、やっとスウェーデンの高齢者の安全活動を調査した新しいOECDの報告書により、その要請事項のサポートをえた。

OECD(国際的な経済発展のための組織)のために第三者の学者達が行なった調査によると、スウェーデンには全国レベルでの統合していく機能をもった組織が欠乏しているとのことだ。

そこで、報告書は、高齢者の病気に関する教育と研究強化を薦めると同時に、市自治体、ランスチング(医療責任体)などがより協力し、たとえば定期的に高齢者のすべての医薬品などに関する勉強会の機会をもつべきだと提案している。

これは、現在スウェーデンで行なわれている議論とまったく同じものだと、救援行政局の高齢者の安全性に関するプロジェクトリーダーのトミイ ローゼンバリが指摘している。ローゼンバリは、高齢者の危険性に関する安全活動の追跡をし、活動をまとめ発達させる中央的な組織を求めている。

「高齢者の安全性のためのデリゲーションは、たとえば児童のための安全性、交通安全や労働環境などに関するものと同じように巾広い分野での責任をもつものであるべきです。」と、ローゼンバリは語っている。

救援行政局の事故により学ぶ全国センター(NCO)のヤーン シランデルは、事故の最新統計表を作成した。

「2000年と比較して、現在では4000件以上もの高齢者が毎年転倒事故により病院での治\療を必要としています。この数字は、単に高齢者の数が増えたというだけでは説明できないものです。もし、1000人あたりの人口の変化として計算しても、6%以上もの増加に相当します。」

シランデルは、いくつもの原因が統合されたものだが、非常に高齢の虚弱高齢者数が増加したからだと指摘している。さらに、より多くの高齢者が自宅で長い間暮らし、昔と同じことを自分でできると思われている。ところが、これらの高齢者は絨毯の端や敷居に躓いたり、梯子から落ちたりしているのだ。

「さらに、医薬品の服用も増加している。抗鬱剤は、めまいがしやすいし、混乱状態を引き起こしたりします。」と、ヤーン シランデルは語っている。

シランデルは、高齢者の転倒事故を交通事故による怪我と比較している。 「交通事故よりも3倍も多くの人々が亡くなっています。さらに、交通事故よりも、転倒事故のために病院に入院する人は5倍も多いのです。」

高齢者住宅デリゲーションの会長で、国会議員のバルブロ ヴェステルホルム(民主党)は、高齢者の安全性を追跡し発達活動をするデリゲーションを要望している。

「現在の統計以外にも、分析し研究するための材料が必要です。何故、ちいさな町に住んでいる高齢者の方が、都会に住んでいる高齢者よりも危険性が高いのかなどについてです?何故、多くの女性が病院で治療を受けるのに対して死亡する男性が多いのでしょう?」と、ヴェステルホルムは語っている。

高齢者と国民保健大臣のマリア ラーション(キリスト教民主党)は、高齢者の安全性のためのデリゲーションに関する要望には直ちに回答していない。しかし、政府が今年の予算で19億Kr取り上げた、高齢者ケアへの投資のうち5億Krは住宅への投資であると指摘している。 「のこりは、不健康や高齢者の事故の予防、医薬品の勉強会や認知症ケアの発達などに使われる予定です。現在、省内で、何を優先させるかの決定作業が実施されています。」と、マリア ラーションは説明している。

FAKTA:

  • 2000年度と比較して、全国で転倒事故のために9%多くの高齢者が病院治療を受けた。
  • 2000年度と比較して、ストックホルム県では16%多くの高齢者が病院治療を受けた。
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