Vol.17 スウェーデンからの手紙 今年のスウェーデンは


2006年3月21日 
今年のスウェーデンは第二次世界大戦当時いらいの雪の多い寒い冬だったそうで、イエテボリにすむ我が家の庭もまだ雪に覆われています。しかし、もう春はそこまでやってきているようで、雪割り草がやっと顔をだしてきました。雪割り草とは本当にうまい名前をつけたもので、雪の間からそっと顔をだす、なんともけなげな花です。

これだけ、雪がおおいと、春になって一斉に雪解け水が河に押し寄せてくる時期にはどうなるのだろうと、不安な気持ち落ち着きない毎日を送っている人達もいるそうです。スウェーデン人は海辺や湖、川岸に家をたて自然と共存することが大好きな人達ですが、今年は5月頃の増水の時期をどう乗り切るかが不安で、今から防水工事?に着手している人達もいるそうです。それでも、水の見える場所は人気の土地で、アパートの窓から遠くの海が見えるというだけでも、マンションの値段が上がるという国ですから、春先不安な日々を送る人達は減りそうもありません。

つい先日の当地の新聞によると、一般的なスウェーデン人は、収入の約28%を住居費にあてています。スウェーデンのように土地がたっぷりある国でも住宅は高価です。特に、ストックホルムやイエテボリのような都会における、持ち家や買取式のマンションの値上がりは非常に激しく、政府がやっきになって妥当な価格の住宅提供をはかっているものの、庶民は町から遠く離れた郊外に住むことを余儀なくされているようです。

スウェーデン人のお金の使い方(2004年度)

住居                      28%
日用品(食品、雑貨)            17%
その他の衣類、家具など          15.3%
その他(賭け事、サービスや保険など)  16%
車                       12.2%
レストラン                   4.4%
電話                      3%
健康                    2.3%
アルコール                 1.8%

上の表からも分かるように、住居費が占める割合が非常に高くなっていますが、持ち家に住めない人達も多く、賃貸住宅に入居を希望する人達は跡をたちません。

2005年度だけで、ストックホルム市の賃貸住宅斡旋協会に住宅斡旋を申し込んだ人達は47,000人も増加したそうです。ということは、約134,000人の人達が9,000戸のアパートの空室を奪い合うことになります。

新築のアパートは、ストックホルムでは平均して1平方メートルあたり約1,100Kr(約18,000円程度)以上の家賃を支払わなければなりません。多くの人達が、50平方メートルの2部屋と台所、トイレ、シャワーつきのアパートに5,500Kr(約9万円程度)の家賃までなら支払うと語っています。しかし、現実にはこの程度の家賃では、町中にはとてもアパートは見つからず、郊外から通勤せざるを得ないのが実情です。

しかし、賃貸アパートで、最も家賃の高い新築の2部屋と台所、浴室、トイレつきの63平方メートルのアパートで、家賃が10,743Krというものでも、場所さえ魅力的なところにあれば、借り手にはことかかないというのも現状だそうです。毎月、これだけの家賃を支払うだけの所得のある人達もいるということになります。

私達の友人知人もだんだん年金生活者が増えてきました。最近の話題はもっぱら、高齢の親の介護(スウェーデンでも多くの子供達は、いろいろな形で親の世話をしているのです。)問題と、現在の家をどうするかということです。

主人の母は、89歳になりますが、それこそスープの冷めない距離ということで徒歩で10分程度のところにある、55歳プラスの人達を対象としたシニア ハウスに10年ほど前から住んでいます。広さは58平方メートルあり、一人住まいには十分な2部屋と台所、浴室に広いベランダがついています。家賃が5,766Krそして、20日分の昼食代として毎月1,000Krの食券を購入しなければなりません。現在はこのアパートの居住権が約50万Krで売買されています。10年前には約18万Kr程度で入手したアパートの居住権ですから、もしこのアパートの居住権を手放せば義母は、かなり有利な利殖をしたことになります。

スウェーデン人が貯蓄はしなくても、何とか持ち家や居住権つきのアパートを購入したがるのは、このように利殖の手段として考えているからです。ローンの返済をしなくても、毎月の家賃と金利だけを支払っていれば、家や居住権が値上がりした分だけが貯蓄したことになるからです。

主人の母の住んでいるシニア ハウスのすぐ近くに新しい居住権つきのアパートの建築が始まりました。新築で、近代的なしゃれた間取りのアパートですが、80平方メートル程度の広さのアパートで、居住権だけでも200-300万Kr。さらに、家賃が毎月5,000-6,000Krというものです。

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老後の生活を自分で考えなければならないとはいえ、これだけの資金を捻出できる人達が、どれだけいるのか不思議で仕方がありませんが、もうすでに空室はないそうです。

私も主人も、これから、せっせと宝くじでも買わないと古い家から脱出はできそうもありません。

友子 ハンソン

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