Vol.52 スウェーデンからの手紙 下顎が痛いのは女性の場合は心筋梗塞のしるしだ

2007年1月23日 スヴェンスカダーグブラーデット紙

警告を発する信号を見落とすので死亡する女性が多い

心筋梗塞の発作を起す女性はきちんと手当てを受けられるとはかぎらない。それは、医療関係者は胸の痛みなどの典型的な症状を探しているからだ。ところが、調査により、女性の下顎の痛みなどは普通の警告信号であるかもしれないということが判明した。

下あごや歯の痛みは心筋梗塞の発作の普通の警告かもしれないのだ。ところが、こういった症状は“典型的”な症状に比較して風変わりなので、国民病の心筋梗塞や動脈硬化症にかかる特に女性は診断を受ける前に死亡することがある。

ウルグアイとスウェーデンの研究調査の対象となった186名の患者中の71名が、こういったタイプの研究されていない症状を示していた。心臓病の専門医や歯科医で顎の研究者でウメオ大学の歯科レントゲン学者のアニカ イスバリ達は、歯科医が間違った場所を探していることもあるという結論に達した。

「国は体の鏡だとよく言います。ということは、本当に痛みのある場所以外のところに症状が表れるということはよくあることです。」と、アニカ イスバリは語っている。

今回の調査の結果は、アメリカの歯科医の専門誌JADAの今年1月号で発表されている。博士課程の研究者のマルセロ クレイナーを中心にしたグループが、動脈硬化または心筋梗塞という診断をうけた186名の患者を調査した。患者は、人体の絵をみてどこが痛いかを指摘した。38%の患者は、その殆どが女性だったが、下あごだけまたは下あごや顔を指差した。調査によると、顎の周辺の痛みが最も多く、胸部の痛みはみられなかった。

通常、患者に示される人体像は肩で終わっているが、今回は頭もついた絵が使用された。

「もし患者に頭のついていない人体像をみせると、患者は絵にない場所に痛みがあるとは指摘しないで、顎の痛みは歯科医の領域であると思うでしょうし、歯科医には心筋梗塞の発作の症状がわかりません。その理由は、人間の体が医師の専門により分割されているということが少し影響しているからでしょう。」と、アニカ イスバリは語っている。

患者の多くは、最初に歯科医の診察を受けており、実際に心筋梗塞の発作を起してから病院を訪れている。今回の調査が小規模だが、女性の場合は心筋梗塞の発作が頭の周辺の痛みとして認識されるという発見をないがしろにできるものではないと、アニカ イスバリは語っている。調査の対象となった患者で、下顎周辺に痛みのあった11名が、通常医師が探し求める典型的な心臓病の症状を示さなかったにもかかわらず心臓病の手当てを受けたということも事実なのだ。

結論としては、下顎または顔周辺に痛みのある女性は、歯科医が病気を発見できないので死亡することもあるということだ。

「患者が歯の痛みのために歯科医の診察を受け、歯科治療をうけ、次の日に心筋梗塞の発作で死亡しても、家族が歯の痛みと心筋梗塞の発作を結びつけることはめったにありません。」と、アニカ イスバリは語っている。

アニカ イスバリによると、こういったケースのごく少数の例が報告されているが、今回の調査は初の大規模なものだそうだ。アニカ イスバリは、こういった痛みを、調査の対象となった女性患者にはよく見られたので不定型と呼んでいる。普通、“典型的”な症状は、いままで医療治療の調査のモルモットになることが多かった男性に診られる症状だった。

「男性の症状が基準になっているので、女性の心筋梗塞の発作を見逃すことがあるということが、最近では注目されるようになりました。」と、アニカ イスバリは語っている。

数字

  • 毎日91名のスウェーデン人が心筋梗塞の発作を起している。
  • 27000名の人々が、毎年心筋梗塞のために治療を受けている。この数字は減少してきているが、動脈硬化症の患者が増加している。
  • 45歳から75歳のスウェーデン人中の11000名が毎年、動脈硬化を発病している。 さらに、高齢者中の90000人が動脈硬化症をやんでいる。

心筋梗塞の発作

男性と女性では症状が異なる(しかし、両者ともに胸部の痛みを訴える人が最も多い)。

  • 女性: 喉。下顎。顎。歯。
  • 男性: 胸の痛み。

同時に両側に痛みがある

歯の痛みが虫歯によるものではない場合の典型的な症状は、顎の左右両側に同時に痛みがあり、忙しい場合などには悪化する。

動脈硬化と心筋梗塞は動脈に脂肪がたまることにより、心臓の酸素不足を引き起こすからだ。循環器系統の病気は、スウェーデンでは最も死亡率の高いものだ。心筋梗塞の発作の半分は、動脈硬化によるものだ。

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