Vol.42 スウェーデンからの手紙 エタノール

2006年9月20日 スヴェンスカダーグブラーデット紙

エタノールは不足品だ。エタノールが高いので車のオーナー達は環境対応車にガソリンを使うようになった。エタノール車が市場に増えたのでエタノールの売り上げが1年で300%も増加した。しかし、ガソリンを買った方がまた安くなったのでエタノールの売り上げ率がそれほど上昇しなくなってきた。

環境によい燃料をいれるにはお金がかかる
エタノールの需要はものすごい勢いで高まった。8月にはOKQ8社では199%もその売り上げを伸ばし、Statoil社では、前年度の同時期に比較してエタノールの販売量が300%も上がった。

しかし、現状では、ガソリン会社によると、エタノール燃料の需要が減少しつつあるそうだ。それは、エタノールの価格が上がりすぎガソリンが安くなってきたからだ。

「販売量の減少です。7月から8月にかけては、エタノールの売り上げは、安定していまし。また、わが社ではエタノール スタンドを増設しましたから、売り上げは上昇するべきです。まだ正確な数字はわかっていませんが、売り上げは約10-15%のダウンだと思います。」と、Preem石油会社のトーマス ウーグレン広報部長は語っている。

エタノールを燃料タンクにいれていても、1リットルのガソリンに対して、エタノールは1,3から1,4リットル必要になり、エネルギー供給量が少ないので、普通のガソリンの方が安くなる。

「価格に対するエネルギー供給量を考えると、エタノールで車を走らせるための理由がなくなりました。わが社にとっては、エタノール拡大にとって重要なことですから、こういった傾向には十分注目しています。企業投資は長期的に有効なものでなければならないからです。そうしなければ、あまりに近い場所にあるガソリンスタンドを閉鎖しなければならなくなります。」と、トーマス ウーグレン広報部長は語っている。

ガソリン会社は、今後のエタノールの需要にこたえるべく、エタノール ネット建設などに莫大な資金投資をしている。Statoil社では、今年の5月には、スウェーデン国内に95のエタノール スタンドを所有していたが、8月には110箇所に増設し、今年の末までには200箇所までスタンドを増やす予定だ。2007年度には、さらに50箇所のスタンドが建設される予定だ。1ヶ所のスタンド建設費用は、約35万Kr(約525万円相当)程度などで、石油会社にとっては、重要な投資金額となる。Statoil社でも、エタノールとガソリンの価格差がそれほど大きくないと判るとエタノールからガソリンに変更している人達がいることに気付いたそうだ。

「お客様は経済性という視点で燃料を購入していますが、もちろん環境ということを優先している人達もいます。」と、スウェーデンのStatoil社のヘレナ フォーンステッド広報部長は語っている。

OKQ8社でも、エタノールの売り上げが減少するのではと恐れている。
「こういった傾向には心配です。もうエタノールを購入した方が経済的というわけではなくなったからです。」と、OKQ8社のカミラ スルンゲ ダウリング環境部長は語っている。

石油会社が、経済性ということだけが、お客様の燃料選択を決定しているとは思っていないものの、自動車の販売会社の見解は異なっている。

「環境対応車の売り上げ向上の公式理由は、スウェーデン人は環境意識が高いというものです。しかし、本当の理由は、環境ボーナスと、ストックホルム市での混雑税免除です。少なくとも60%のSaab Biopower車はガソリンだけで走っています。本当のことなのです。」と、ストックホルム北部のソルナ/ハーガ地区の車のデイラーBilia社のヨーハン フリスク マーケテイング部長は語っている。

Bil Sweden社によると、環境対応車の半分は企業車として購入されており、環境対応車購入の理由は、環境ボーナスと混雑税免除にあるとのことだ。エタノール価格が上がれば、車のオーナーは燃料を変えるだけだ。

「もちろん、こういった傾向には気付いています。エタノール車は、燃費が30-40%悪いのです。お客様は携帯電話を使って計算して、エタノールの価格に1.4をかけて計算してからガソリンの価格と比較しています。」と、Bil Sweden社のバッテル モルデーン社長は語っている。

エタノール部門だけが苦しくなっているのではない。環境車の絶対数も少ないのだ。行政機関は様々の優遇対策を講じて、環境車の売り上げを伸ばそうとしています。しかし、スウェーデンは、世界的な発展のために不利になっているということだ。

エタノールの価格が上昇した理由は、世界的な需要の拡大にある。しかも、EU圏内へのエタノールの輸入に際しては、EU圏内でのエタノール製造を促進するためのいくつもの輸入税がかけられている。もちろん、エタノールの大型製造工場が計画されてはいるが、スウェーデン国内でのエタノールの製造が十分ではない。

「エタノール製造がまだ順調ではありません。スウェーデンはエタノールを完全に自給できるようにはならないでしょう。」と、スウェーデンの石油研究所、SPIのウルフ スヴァーン氏は語っている。

数字:
環境車市場
3種類のエタノール車がスウェーデン市場ある。
* Saab 9-5 Biopower.
* Ford Focus Flexifuel
* Volvo S40/S50 Flexifuel

8月には車の販売量が9%増加した。
8月にはSaab 9-5 Biopowerの売り上げは65%も増加した。
Grona bilisterによると、2006年度の新車販売の15%が環境対応車だ。
環境対応車を購入する人達の50%が企業だ。

エタノールの価格 (グラフ)
ガソリン (95オクタン) 
E85 効率から計算して
E85

70000立方メートルが製造されている-280000立法メートルが必要
* 現状では、スウェーデンでは7万立方メートルのエタノールが製造されている。今年の使用量は、約28万立方メートル程度になろう。25万立方メートルのエタノールが、5%のガソリンとの混合に使用されている。残りは、85%のエタノールと15%のガソリンからなるE85の製造に使用されている。
* 全世界のエタノールの70%はブラジルで製造されている。
スウェーデン最大のエタノール製造企業はLantmannenでノルシューピング市に工場があるが、スウェーデン国内の約7万立方メートルに相当するエタノール製造量の半分を作っている。10億Krの投資が、ノルシューピング工場で行われており、年間150万立方メートルのエタノール製造が可能となる予定だ。
* マルメ市にあるFred Holmberg社は、カルマル市にノルシューピング工場と同じ程度の製造キャパの工場建設を計画している。さらに、Scandinavian Etanol社は、ブレーキング地方とハッランド地方に同じ程度の規模の工場建設を計画している。
Karlskoga energi och miljo社は10万立方メートルのエタノール製造工場建設を予定している。
さらに、2009年度中には製造開始予定の工場がいくつか計画されている。それらは、たとえば、世界最大のエネルギー企業のState of Grid of ChinaがHarjedalens Miljobransle社と共同で、20億Kr投資したエタノール製造工場をSvegに建設予定だ。

3つの利点がある
* 環境対応車を企業車として使用する場合には、優遇ボーナスにより税金が低くなる。そのため、Bil Sweden社によると、スウェーデン国内で販売されている環境対応車の半分が企業により購入されているとのことだ。
* ストックホルム市も含み、多くの市自治体が、環境対応車を使っている市民に、無料の居住者用駐車権利を提供している。
* ストックホルム市が混雑税納入かどうかの試験実施期間中に、環境対応車は混雑税を免除された。

日本ではセルロースがエタノールになる
日本の自動車メーカーのホンダは、日本の研究開発企業のRITEと共同でセルロースを使用してエタノールを製造する新しい方法の開発に成功したと発表した。セルロースは、木の葉や植物の茎にあるので、今回のテストには稲などが使用された。

この新しい技術が発表どおりの場合には、CO2の排出量減少に役立つことになる。ガソリンの価格が上昇するにつれ、エタノールは車の燃料として魅力的な代替燃料となった。
現在までのところ、バイオエタノールは主として、砂糖、砂糖キビやカラスムギの澱粉から製造されてきた。しかし、こういった植物は食料としても利用できるので、食料として利用するか、バイオ燃料を製造するかで意見の相違があった。そのため、原料の購入に際しての価格吊り上げの危険性があると思われていた。
そこで、このホンダの新技術は、食品として利用できない植物や、植物の部分を利用できるので、こういった価格に関する危険性を避けることが出来る。

ポンプ法
スウェーデン国内でのエタノール スタンドの大幅拡大は、政府のポンプ法のためだ。この法律により、大型のガソリンスタンドには、最低でも1ヶ所、環境対応燃料用のポンプを設置しなければならないというものだ。今日では、環境対応燃料はエタノールかバイオガスだ。ガスポンプを設置するには、エタノール ポンプの6倍も費用がかかる。

N24.se
総選挙に際して、野党連合側は、環境車を購入する人には、10万Krの減税を約束している。

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