Vol.11 スウェーデンからの手紙  シニアハウス

早いものでもう2月も半分終わってしまいました。
皆さん、今年のヴァレンタインデイの成果はいかがでしたか? スウェーデンでは赤いバラの花の売り上げが新記録を達成したそうです。私の友人は、75歳ですが、93歳のボートフレンドが、赤いバラの花をもって、雪のなかを車でやってきたそうです。
うらやましい話しです!!
この話しを聞いたもう一人の友人がフランス人のご主人に話したところ、「僕も93歳になったら、ちゃんと赤いバラを買ってあげるから心配しないでいいよ!」といわれたそうです。そうなるとスウェーデン人が退屈?だという評判はうそかもしれませんが、、、、、

コンサートホールに行っても、劇場に行っても、見渡すかぎり頭の白い高齢者で一杯ですが、それだけ高齢者社会になったということでしょうか。それとも時間的にも経済的にも余裕があるのは高齢者ということかも知れません。つい先日の、新聞にも出ていましたが、
多くの企業は、今後のマーケテイングはターゲットを絞って、購買力のある人達のみを対象にする方針だとのことです。

購買力のある人達は:

  • * デインクスというダブル インカム ノーキッド世代
    (2種類のデインクスがあります。若くてまだ子供を生んでいなくて2人とも仕事をしているカップル。もう一つのデインクスは、50歳+ぐらいで、子供は巣立ってしまったが、まだ2人とも仕事をしているカップル。)

  • * 同性愛者カップル
    (たいていが高所得の職業についており、インテリアなどにも非常にこだわるそうです。子供のいないカップルが多いので、購買力があるのだそうです。)

  • * 子供 
    (小子化のために、子供は王様扱いで、一人の子供には最低でも4個(母方と父方祖父母)の財布がついているといわれているほどです。)

この膨らんだ財布をもった高齢者デインクスを狙った新しい住宅が注目を浴びています。
それは、シニアハウスまたはシニア住宅といわれる、一種のコレクテイブ リビング形式の住宅です。

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▲シニアハウスの図面

スウェーデンのイルヴァ ヨハンソン高齢者福祉大臣は、「2050年ごろには、国民の30%が65歳以上の高齢者になるスウェーデンで、従来の公的福祉を重視した高齢者ケアではなく、建設会社などを刺激し、シニアハウスを積極的に建設させるようにし、各個人は積極的に老後の人生設計をするようにしたい。」という抱負を語っています。
また、モーナ サリーン公共住宅大臣も「建築会社もシニアハウスの建築に積極的だ。」と語っています。

現在スウェーデン国内には、買取から賃貸方式まで、様々のタイプのシニアハウスが約18万戸存在していますが、この数年で爆発的に増加するであろうと思われているものです。

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▲シニアハウスの図面

イエテボリ市内でも、便利で魅力的な土地で建設が行われている集合住宅の一部には、かならず買取式のシニアハウスが含まれており、高額にもかかわらず大変な人気を得ているそうです。

それに、1960年代から70年代に建設された、100万戸住宅の改修もあり、スウェーデンは建築ブームに突入しています。このブームは丁度昨年の夏以後あたりから本格化し、今年は、PeabやSkanskaなど大手の建築会社が軒並み、数年ぶりに大幅の雇用を発表しています。建築現場での労働者だけでなく、多くの設計者やエンジニアも求人予定者に含まれており、業界は希望に満ちています。

まだ元気なうちに、自分の老後の設計をするというのも、計画大好きなスウェーデン人には向いているのかも知れません。しかし、これはスウェーデンだけではなく、私がつい最近でかけていたエジプトでもこういう考え方はあったようです。

古来、エジプトの人々は太陽を崇拝していたので、太陽の登る東は生ある地、そして太陽の沈む西は死後の世界と考えていたそうです。そのため、ナイル河の東側には王家の宮殿などがあり、西側にはピラミッドを含む、お墓や死者をまつるための神殿がありました。
そして、ナイル河の西側Luxorにある、何千年も昔に建造されたファラオの墳墓には、まだ色彩のあざやかな壁画がいくつも残っていますが、そこにあった人間の一生をあらわす絵が特に印象的でした。
一本の大木に5羽の小鳥がとまって一生懸命歌をうたっている絵です。小鳥はそれぞれが、幼児時代、子供時代、青年時代、壮年時代、そして老年時代を象徴しているのだそうです。

壮年時代を表すShrike(モズ)は、翼を大きく広げ、東にむかってまさに飛び立とうとしているようです。
老年時代を表すHoopoe(ヤツガシラ)のみは、西側をむいています。このHoopoeだけは、頭に冠をかぶり尊厳にみちた眼差しで西をむいているのです。高齢者のもつ経験や知識などが尊重される時代は終わったような気がする今日、この絵は非常に印象的でした。
私には、おちついて、冷静にしかも尊厳をもって老後と死後の世界を見守ることができるでしょうか?キリスト教徒の多いスウェーデン人はどう考えているのでしょう?

そういう難しいことまでは考えないで、せめて住宅ぐらいは元気なうちにバリヤーフリーで、同じような年齢の人達が一緒に住んでいるシニアハウスに引っ越そうと考える人達が増えているのは確かなようです。

2006年2月15日  イエテボリにて  友子 ハンソン

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