Vol.5 スウェーデンからの手紙  暖房費用のかからない家

2005年11月4日 スヴェンスカダーブラーデット紙

暖房費用のかからない家

太陽熱を利用した電池とヒートポンプという2つの近代的な技術を組み合わせることにより,一般住宅では暖房費用がゼロになる。こういったコンセプトによる最初の住宅はストレングネース(Strangnas)に建 設され来春までには完成の予定だ。

 1:太陽熱が屋根の上の太陽電池のパネルを照らす
 2:太陽電池は太陽光線を電気に換えている
 3:発電された電気は電気のネットを通じて販売される
 4:ヒートポンプによる排気のリサイクル
 5:岩盤および地熱暖房により,地面に貯蔵されていた太陽熱エネルギーを利用する
 6:ヒートポンプに運転には電気を従来の方式で購入し,さらに冬の特別寒い日には暖房にも使用
  する。必要経費は,3:による電気の販売収入でまかなう。

太陽電池はこのように機能している
メタルのコンタクト
    反射防止用の素材
    珪素材
    遮断用の素材
メタルのコンタクト

地面からの太陽熱で暖かい

新しい住宅: 冬でさえも一年を通じてずっと太陽が家を暖めることができる。ストレングネースに,必要な暖房と温水を太陽の直射日光と地面に貯蔵しておいた太陽熱エネルギーでまかなうような一般住宅が建設されている。

ストレングネース郊外のスカルパン(Skarpan)地区では,もうすぐ暖房費が全くかからないタイプの16戸の一般住宅の販売が開始される予定だ。この住宅は,住宅基準により決められただけの断熱材を使用している普通住宅だ。これらの住宅は来年完成の予定だが,すでに2戸は売却済みだ。
暖房費がゼロとはどういう意味なのだろう?それは,屋根の上の太陽電池と,排気の熱のリサイクルを利用している普通のヒートポンプ,さらに,地面と岩盤の熱の利用,また太陽電池により発電された電気のネットへの販売による収入を利用しているということだ。

計算ではこのようになっている: 太陽電池がヒートポンプの運転に必要なだけの電気を発電するので,ヒートポンプにより家の暖房と温水はまかなわれる。

しかし,太陽熱のエネルギーは季節により大きくことなる。そこで,電気は太陽電池から直接ヒートポンプに流れないで,電気は一度普通のネットに販売される。ヒートポンプを稼動させるために,住宅のオーナーは電気を従来の方式で購入している。また,冬の間の特に寒い日には,ヒートポンプだけでは家全体の暖房をまかなうことが出来ないので,電気を購入しなければならない。しかし,年間を通じて考えるとこれらの住宅のオーナーにとって電気料金はプラス・マイナス ゼロになる。

「丁度余分なお金を銀行に貯金するようなものです。ここでは,余分な電気をネットに販売するのです。」と,このプロジェクトを同僚のシェル ビールトン氏と一緒に実施しているEkosol(エコソール)社のリカード ニルソン氏は語っている。

これらの住宅のオーナーが従来の方式で電気を購入しヒートポンプを稼動させているが,最終的にはすべてのエネルギーは太陽熱を利用していると考えることが出来る。それは,地熱と岩盤の熱は,太陽熱が貯蔵されたものといえるし,家のオーナーが購入する電気は原則的には自分で発電したものといえる。

広さ136㎡のストレングネースの住宅の販売価格は2,3百クロノールだ。住宅のオーナーは屋根の上の太陽熱発電装置を電気の販売を取り仕切るエコソール社に貸し出す形式になっている。そして,エコソール社は年間5,000クロノールの賃貸料金を支払う。太陽熱発電装置の貸し出しによる所得は,営利的な貸し出しではないので税金を支払う必要はない。

さらに,フレーニングススパール銀行(Foreningssparbanken)は,太陽熱発電装置に必要な投資金額,およそ20万クロノールの金利に相当する金額の“環境割引き”を提供している。

エコソール社は,太陽熱発電装置には25年の保証をしている。それは,装置の部品の数も少なく,動く部品も少ないので最低限のサービスしか必要としていないからだそうだ。

エコソール社の次のプロジェクト リストには,スーデルテリ市,フッデインゲ市,サーレム市,さらにイエテボリ市があるが,建設開始はまだどこでも決まっていない。しかし,リカード ニルソン氏は,社会建設大臣のモーサ サリーンが,スウェーデンは2020年には化石資源を一切使用しないという目標をあげていることもあり,将来については希望的だ。エコソール社は,5年後には1000軒の住宅が太陽熱発電装置を使用することを目標にしているが,そのためには法律の改正などによる支援を要望している。

エネルギー行政局のステム(Stem)はこのプロジェクトを推薦している。行政局のマリアハルさんは,このような完璧な方法は,最初から太陽熱発電を利用するようになる良い手段だと考えている。

「しかし,私は太陽電池を利用したこういったタイプの受託は,将来も国からの援助が必要だと思います。」と,マリアハルさんは語っている。

太陽熱エネルギーや家の暖房に太陽の熱を利用する様々な方法

太陽電池は,太陽のエネルギーを電気に変えている。太陽熱のコレクターが家の暖房や温水製造のために水を温めている。

助成金と援助: 一般住宅に太陽熱利用装置を設置する場合には最高7,500Krの助成金がもらえる。集合住宅の場合は,アパート一戸あたり最高5,000Krの助成金が支給される。来年早々にはさらに,助成金が支給される予定だ。この助成金は,重油や電気を利用している暖房装置から,太陽などのより環境にやさしいシステムへの改造に筆負うな費用に利用されるものだ。助成金額はまだ決定されていないが,両方の助成金を受けることとが可能だ。

その他の太陽熱システム: ガラスの屋根。ストックホルム王立工科大学(KTH)のプロジェクトはまだプロトタイプの段階だ。使用済みガラスを回収したもので屋根を覆い太陽熱を利用しようというものだ。ガラス製造企業との話し合いが進んでいるが,まだ現状ではガラスの屋根瓦の製造は開始されていない。ガラスの瓦の下に,シリコンの用紙が引かれており,この用紙が水素や風から屋根を保護し,同時に太陽熱を吸収している。春と秋には,太陽熱は直接家の暖房に使用され,夏の間は余剰熱は地面に誘導される。冬の間には,岩盤か地面用のヒートポンプで地面に蓄積されている熱を取り出して利用する。このガラスの再利用システムは,太陽電池をガラスの瓦の下に設置することで,組合わせて利用することが可能であり,ストレングネースと同じく余剰電気はネットに販売できる。

太陽熱フィルム: これはウプサラのオングスロム実験所の開発プロジェクトだ。非常に薄手のフィルムが従来の太陽電池に代えて使用される。フィルムの方が,普通の太陽電池よりずっと安いであろうといわれている。市場に登場するのは早くても2008年頃。

コンビシステム: 現時点では,太陽エネルギーを利用する最も普通の方法。太陽熱のコレクターとその他の暖房システムを組み合わせて使用しており,太陽熱は住宅のエネルギー消費の補足的なものだ。太陽熱により温水を作り,直積用のタンクに温水を貯めておく。大きな魔法瓶と同じ原則だ。温水が暖房とシャワーなどの温水として利用される。一般住宅用のこういった設備の費用は,75,000Kr程度だ。太陽熱システムで,システム装置と温水貯蔵タンクも含み,コストは1㎡あたり約5,000Kr程度となる。一般住宅用には約15㎡の太陽熱装置が普通使用されている。

ウエブサイト:
ストレングネース プロジェクト:www.ekosol.se
ガラスの屋根:www.energiboden.se
太陽熱フィルム:www.solibro.se
スウェーデンのエネルギー協会:www.solklart-solvarme.nu
消費者行政局:www.energi.konsumentverket.se

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